DWH(データウェアハウス)とは何か?徹底的に解説!

DWH(データウェアハウス)は、ビッグデータ時代におけるデータ管理や分析のための重要な概念です。多くの企業や組織がデータの収集・保存・活用に取り組む中で、DWHは効果的なデータ戦略の一翼を担っています。本記事では、DWHとは何かについて徹底的に解説します。

DWHとは?

DWHは、ビッグデータの統合・管理・分析を行うためのデータストレージと分析基盤です。企業内のさまざまなデータソースからのデータを収集し、統合して一元的に格納します。この統合されたデータは、経営者や分析者が意思決定に必要な情報を抽出するために活用されます。DWHは、高速で効率的なデータアクセスを実現し、ビジネスの洞察を提供する役割を果たします。

 DWH成立の背景

DWHの成立には、以下のような背景があります。

1. データの増加と多様化:ビッグデータ時代において、企業は様々なデータソースから大量のデータを収集しています。これらのデータを有効に活用するためには、データの統合と整理が必要です。

2. ビジネスの迅速な意思決定:迅速な意思決定は競争力の源泉です。ビジネスの状況を把握し、将来の展望を予測するためには、データに基づいた分析と洞察が必要です。

3. データの一貫性と信頼性:異なるデータソースからのデータを統合することで、データの一貫性と信頼性を確保します。一貫性のないデータや矛盾した情報は、正確な意思決定を妨げる可能性があります。

DWHとDB/データマート/データレイク/BIとの違い

DWHに似たような機能を持つのが、DBとデータマート、データレイク、BIです。それぞれとの違いを確認していきましょう。

DWHとDBの違い

DWHとDB(データベース)は、異なる目的と利用方法を持つデータ管理の手段です。

DWHは、複数のデータソースからのデータを統合して格納するためのデータストレージです。主に分析目的で使用され、ビジネスの洞察を提供します。DWHは、データの一貫性と統合性を重視し、大量のデータを効率的に処理することに特化しています。

一方、DBは、データの永続的な保管とトランザクション処理を目的としたデータ管理システムです。主にアプリケーションの裏側で使用され、データの追加・変更・削除を行います。DBは、データの整合性と可用性を重視し、トランザクションの処理やデータの操作を効率的に行うことに特化しています。

DWHとデータマートの違い

DWHとデータマートは、データの統合と分析を行うためのデータストレージですが、そのスコープや利用目的に違いがあります。

DWHは、企業全体のさまざまなデータソースからのデータを統合して格納するデータストレージです。様々な分析ニーズに対応するため、幅広いデータが格納されます。DWHは、主に経営者や分析者がビジネス上の意思決定をサポートするための情報を提供する役割を果たします。

一方、データマートは、特定の業務部門やテーマに焦点を当てたデータのサブセットを統合して格納するデータストレージです。例えば、営業部門向けのデータマートでは、顧客情報や売上データなどが統合されます。データマートは、特定のビジネス分野における分析やレポート作成をサポートする役割を果たします。

DWHとデータブレイクの違い

DWHとデータレイクは、データの統合と活用を目的とするが、データの構造や管理方法に違いがあります。

DWHは、事前にデータの統合と整理を行い、データを特定の構造に整形して格納します。DWHでは、データの一貫性を重視し、データの変換や加工を事前に行うことで分析の効率性を高めます。DWHは、統合されたデータの品質と信頼性を確保することが重要です。

一方、データレイクは、様々なデータソースからのデータをそのまま格納するデータストレージです。データレイクでは、データの統合や整理を事前に行わず、生データのまま保管します。データレイクは、柔軟性と拡張性に優れており、さまざまなデータ形式や構造を取り扱うことができます。データの変換や加工は、必要な時に行われます。

 DWHとBIの違い

DWHとBI(ビジネスインテリジェンス)は、ビジネスの意思決定を支援するためのツールやプロセスですが、そのスコープと目的に違いがあります。

DWHは、データの統合と管理を行うデータストレージです。DWHは、様々なデータソースからのデータを収集し、統合して格納します。
BIは、データの一貫性と信頼性を確保し、データの統合と整理を行うことで、ビジネスの洞察を提供する役割を果たします。

DWHの4つの要件&メリット

DWHには4つの要件とメリットがあります。それぞれ詳しくみていきましょう。

サブジェクトごとに整理される

DWHでは、データをテーマやサブジェクトに基づいて整理します。これにより、異なるデータソースからの関連データを統合して格納することができます。データの整理により、データの検索と抽出が容易になり、効果的なデータ分析が可能となります。

データが統合される

DWHでは、異なるデータソースからのデータを統合して格納します。統合されたデータは一貫性を持ち、異なるデータソースからのデータの関係性を把握することができます。統合されたデータは、企業全体のビジネス洞察を提供するために使用されます。

データが時系列で整理される

DWH(データウェアハウス)では、データが時系列で整理されます。時系列データとは、時間の経過に伴って発生するデータのことを指し、日付や時間の情報を含むデータです。データウェアハウスは、複数のデータソースからの時系列データを統合し、統一的なビューを提供します。これにより、企業は異なる時系列データを一元管理し、時間の経過に伴う変化を包括的に把握することができます。

データが永続的に保管される

DWHでは、データが永続的に保管されます。永続性とは、データが長期間にわたって保存されることを意味します。データウェアハウスは、過去のデータからの洞察や分析が必要とされるため、データの永続的な保存が重要です。
データウェアハウスでは、データの保存においてバックアップや冗長性の確保などの安全対策が取られます。これにより、データの損失や破損を防ぎ、長期間にわたってデータを利活用することができます。
データが永続的に保管されることで、過去のデータにアクセスし、傾向の分析や予測モデルの構築、歴史的なパフォーマンスの評価などが可能となります。さらに、データの永続的な保管はビジネスの透明性やアカウンタビリティを向上させ、信頼性のある意思決定を支援します。

DWH導入のデメリット

DWHの導入はメリットばかりではありません。導入する際はデメリットをしっかり理解した上での導入が大切になります。この章でしっかりデメリットを確認しておきましょう。

変速的な分析はできない

DWHは、データの統合と整理を事前に行うため、リアルタイムな分析には向いていません。データの取り込みや処理には時間がかかり、変動するデータに対して迅速な分析が困難です。特に、市場の動向や競合情報など、迅速な対応が求められる場合には、DWHでは限定的な役割を果たす可能性があります。

一定周期でしかデータを分析できない

DWHは、一定の周期でデータを収集し、分析を行う仕組みです。このため、データの更新や分析は、一定のスケジュールに従って行われます。リアルタイムなデータの変化やイベントに対して即座に対応する必要がある場合には、DWHの導入に制約が生じる可能性があります。

DWHの散在化

DWHは、企業内のさまざまな部門やシステムからデータを収集するため、データが散在している場合があります。データの散在化は、データの統合や管理の複雑さを増加させる可能性があります。データの散在化を解消するためには、適切なデータ統合戦略やデータ品質管理の取り組みが必要となります。

 DWHの導入事例

DWHの導入はデータ分析の準備になります。データ分析によって成功した事例を紹介していきます。

食品メーカー:データアナリティクスによって売上増

小売業界におけるビッグデータ活用は、消費者の傾向分析が一般的です。ビッグデータから得られる購買履歴や個人情報を元に、ターゲット層の特定や購買頻度の分析を行い、仕入れや在庫管理などに活用します。ある企業では、幅広い情報源から集めたビッグデータをデータ分析することで、売上増を実現しました。消費者の購買データだけでなく、気象データや検索結果、広告へのアクセスなどを総合的に分析することで、購買行動に関する深い洞察を得ることができました。
例えば、夏のキャンペーンが失敗に終わった場合、当初は広告の訴求力や高温の影響を分析しました。しかし、購買層の移動データを組み合わせて分析することで、多くの人々が休暇で旅行に出かけていたことが判明しました。このような多角的なデータ分析を通じて、無駄のない的確なマーケティング戦略を立て、売上を増やすことができました。この事例は外部のビッグデータを活用することで、業績向上を実現する良い例と言えます。

小売:需要予測によって売上増

ある回転寿司チェーンは、ビジネスにデータを活用しており、需要予測による売り上げ向上に成功しています。実践された手法は、寿司皿へのICタグ取り付けによるデータ収集です。ICタグにより、テーブルごとの寿司の消費状況や流れるタイミングなどの情報が蓄積されます。このチェーンが蓄積したデータ量は、非常に大きく、需要予測に活用されています。握る寿司の数や流す量などがデータに基づいて調整され、無駄なコストが減り、顧客満足度が向上しました。

飲料メーカー:データ活用によって売上増

ある飲料メーカーは、消費者の行動データを分析し、その結果を自動販売機の商品陳列に反映させました。この施策により、売上が大幅に増加しました。分析にはアンケートデータと消費者の視線データが活用されました。従来の説とは異なる結果が得られたため、自動販売機の商品陳列がデータに基づいて変更されました。結果として、売り上げが大幅に増えました。

 ガス会社:修理作業の自動化

修理作業の自動化に成功したのが、ガス事業を営む企業です。同社は大量の修理データを蓄積し、その中から最適な部品を抽出する仕組みを構築しました。従来の手作業に比べて時間と手間を大幅に削減し、作業員の負担を軽減しました。これにより、作業員はより重要な業務に集中できるようになり、リソースの有効活用も促進されました。

 家電メーカー:工場の自動化

家具や生活用品の製造・販売を行うある企業は、ファクトリーオートメーションを導入し、工場の自動化を実現しています。この企業はLED照明の生産工場に多関節ロボットを導入し、人の手によらない生産ラインを構築しました。さらに、生産ライン間の移動には無人搬送車(ADV)を活用し、大量の生産能力を獲得しました。物流倉庫でもクレーンやコンベヤ、垂直搬送機などを導入し、物流工程の自動化に成功しています。産業用ロボットや無人搬送車によるデータの学習により、LED照明の安定供給を実現しました。

大学病院:データ分析による健康増進

大学の研究に生命保険会社が参画し、両者の医療ビッグデータを活用した健康増進や健康寿命延長の研究が行われています。生命保険会社は様々な疾病や治療に関する研究を行い、発症者の共通点などを分析して予防医療や特効薬の開発に期待が高まっています。この研究では再生医療の第一人者が関わり、ビッグデータの分析や研究の進展により再生医療の発展も期待されます。再生医療の進歩によって健康寿命が劇的に延びる可能性もあり、注目すべき取り組みです。

建設会社:データ活用で人手不足の解消

建設業界では、人手不足の問題を解決するためにビッグデータやAIの活用が進んでいます。機械の操作情報を収集し、それをAIに学習させることで、機械操作をAIに任せる取り組みが進んでいます。また、施工履歴データを活用することで、建設現場の可視化や効率化、事故や異常発生時に類似リスクを特定するなどの成果が得られています。これらはビッグデータの活用によって実現されたものです。

 DWHでのデータ分析の手順

DWHを用いたデータ分析はどのような手順を踏めばいいのかわからない方もいると思います。この章ではDWHを用いたデータ分析の手順を解説していきます。

DWHの要件定義

DWH導入の最初のステップは、DWHの要件を定義することです。要件定義では、企業のビジネス目標やデータのニーズを明確にし、DWHの設計や機能に関する要件を明確化します。これにより、DWHがビジネスの要求に適合するような仕組みを構築することができます。

DWHの目的の定義

DWH導入の次のステップは、DWHの目的を定義することです。DWHの目的は、企業が達成したい具体的な目標や課題を明確にすることです。例えば、売上の増加や顧客満足度の向上など、ビジネスに関連する目標を設定します。目的を明確にすることで、DWHの構築やデータ分析の方向性を定めることができます。

 DWHの環境構築

DWH導入の次のステップは、DWHの環境を構築することです。これには、データの収集・統合・保存・処理などの基盤を整える作業が含まれます。また、データのセキュリティや可用性なども考慮しながら、適切なハードウェアやソフトウェアの選定や設定を行います。

データの抽出~加工

DWH環境が整ったら、次にデータの抽出と加工を行います。これには、さまざまなデータソースから必要なデータを抽出し、DWHに統合する作業が含まれます。また、必要なデータの加工や変換も行い、DWH内での分析に適した形式や構造に整えます。

 データの分析~レポーティング

DWHに蓄積されたデータを分析する過程では、さまざまな手法やツールが活用されます。まず、データの前処理が行われ、欠損値の処理や異常値の検出などが行われます。その後、統計分析やデータマイニング、機械学習、人工知能などの手法が適用され、データから有益な情報を抽出します。
分析結果はレポーティングによって整理され、可視化されます。ダッシュボードやレポートといったツールを使用して、データの傾向やパターン、相関関係などをわかりやすく表示します。グラフやチャート、表などの視覚的な表現を通じて、ビジネス上の洞察を得ることができます。また、レポーティングでは定期的なレポート作成だけでなく、リアルタイムなデータ分析も行われます。これにより、迅速な意思決定が可能となります。さらに、分析結果は異常検知や予測モデルの構築などにも活用され、ビジネスの効率化や競争力の向上に貢献します。
データの分析とレポーティングによって、企業や組織は現状の把握や課題の特定、将来の展望などを把握することができます。重要な指標やKPI(Key Performance Indicators)の追跡、マーケットトレンドの分析、顧客行動の理解など、さまざまな目的に応じてデータを活用し、戦略的な意思決定を行うことができます。

まとめ

DWH(データウェアハウス)は、企業が大量のデータを統合・保存・分析するためのデータ基盤です。DWHは、ビジネスの意思決定や戦略策定において重要な役割を果たし、効率的なデータ分析と意味のある情報の提供を可能にします。
Snowflakeはビッグデータ分析をする準備段階であるデータ基盤構築の問題を解決することができます。データは集めて終わりではなく利活用してはじめてデータとして意味を持ちます。データ基盤の構築を進めてからデータ分析に取り組んでいきましょう。

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